ブログ・お知らせ
2013年9月17日

NISAの注意点

カテゴリ:税務トピックス
平成26年1月1日から非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置、いわゆる「NISA]が始まります。
非課税口座開設の申請手続きが来月1日から開始されるため、個人投資家をターゲットにした金融機関の顧客獲得競争が激しくなっているようです。

さて、この非課税措置の適用を受けるためには、金融商品取引業者等に非課税口座を開設し、非課税管理勘定を設定する必要があります。
勘定設定期間は①平成26年1月1日~29年12月31日②平成30年1月1日~33年12月31日③平成34年1月1日~35年12月31日
の三つに区分されており、勘定設定期間の開始の日の属する年の前年10月1日からその勘定設定期間の終了の日の属する年の9月30日までに申請手続きをします。

ここで注意が必要なのは、既に特定口座や一般口座で保有している上場株式等を非課税口座に移管して、配当所得・譲渡所得の非課税措置の適用を受けることはできないという点です。
一方で、非課税管理勘定に受け入れていた上場株式等を、5年間の非課税期間終了後に特定口座や一般口座に移管することは可能で、他の年分の非課税管理勘定に移すこともできます。
このほか、非課税口座内で取得した上場株式等を売却したことにより生じた損失はないものとみなされ、特定口座や一般口座で保有する上場株式等の配当等やその上場株式等の売却益との損益通算や繰越控除をすることができない点なども注意が必要です。


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2013年9月5日

婚外子相続差別は違憲とする最高裁判断

カテゴリ:税務トピックス
明治民法から115年引き継がれてきた婚外子の相続差別が解消されることとなりました。
結婚していない男女間に生まれた婚外子の相続分を法律婚の子の半分とする民法の規定について、
最高裁大法廷は「法の下の平等を定めた憲法に違反する」とする判断を示したのです。
家族の形態や結婚・家族に対する意識の多様化から海外でも相続差別廃止が進んでいることを考慮し、
また、「子が自ら選択・修正できない事がらを理由に不利益を及ぼすことは許されないとの考えが確立されてきている」と指摘、
裁判の対象の相続が発生した2001年7月にはすでに違憲だったと結論づけました。

一方で、決着済の遺産分割においては、相続人がすでに受け取った金銭を使ったり不動産を処分したりしていることも考えられ、
遺産分割のやり直しを求められることによって生活が脅かされてしまうことにもなりかねません。
このような判例変更にともなう混乱を避けるため、違憲判決は決着済の遺産分割には影響しないとしています。

政府は速やかに民法改正を検討する意向ですが、家族制度の崩壊を懸念する反対意見も根強く、秋の臨時国会で実現するかどうかが焦点です。
相続実務への対応も含め、今後の動きに注目したいと思います。


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2013年8月1日

消費税率の引き上げと経過措置

カテゴリ:税務トピックス
平成26年4月1日より消費税率が引き上げられる予定です。
施行日(平成26年4月1日)以後の資産の譲渡等、課税仕入れ等に係る消費税については新税率(国税・地方税合わせて8%)が適用され、
施行日前の資産の譲渡等、課税仕入れ等については旧税率(5%)が適用されます。したがって、施行日の前日までに締結した契約に基づき
行われる資産の譲渡等及び課税仕入れ等であっても、これらが施行日以後に行われる場合には、原則として、新税率(8%)が適用されることになります。

ただ、こうした原則が厳格に適用できない取引については「経過措置」が設けられています。
施行日以後の電車の運賃や映画・演劇の鑑賞券、美術館の入場券等の代金を施行日前に支払った場合には旧税率(5%)が適用されるほか、
工事の請負等に係る契約を指定日(平成26年4月1日改正については平成25年10月1日)前に締結した場合には、その資産の譲渡等が行われれるのが平成26年4月1日以後であっても旧税率(5%)が適用されます。

さて、税理士業務はどうかと言うと…
税理士の業務は、主に「相談業務」と「申告書作成業務」に分類されますが、「相談業務」は専門知識や経験等に基づく労務の提供であり、
目的物の引き渡しが無いため経過措置の対象にはなりません。
一方「申告業務」は、完成までに長期間を要するものであり、申告書という目的物を引き渡すものであるため、指定日前に申告書作成に係る契約を締結しているのであれば、申告書の引き渡しが平成26年4月1日以後であっても旧税率(5%)が適用されることになります。


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2013年7月22日

雇用促進税制と所得拡大促進税制について

カテゴリ:税務トピックス
参議院選挙は自民党の圧勝となりましたが、これからの景気や経済動向が気になるところです。さて、平成23年に公布された税制改正法に基づく雇用促進税制や所得拡大促進税制ですが、平成25年度からの適用内容を確認したいと思います。

1、 雇用促進税制 
雇用者数を5人以上(中小企業は2人以上)かつ10%以上増加させる場合など一定の要件を満たした場合、法人税(個人事業主の場合は所得税)の税額控除の適用が受けられます。
  ⇒平成25年度4月1日~平成26年3月31日までの期間内に始める事業年度について、雇用者を1人増やすごとに40万円の税額控除を受けられます。(限度額あり)
平成25年3月31日以前に事業年度が始まる場合には20万円です。
※あらかじめ「雇用促進計画書」を提出する必要があります。

2、 所得拡大促進税制
 従業員に対する給与が、基準年度から5%以上増加した場合等の条件を満たした場合に、10%の税額控除を申請することができます。(限度額あり)
⇒平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度の直前の事業年度を基準事業年度として3年間(平成27年度末まで)
   [要件] 下記のすべてを満たしている場合
① 給与等支給額が基準事業年度の給与等支給額と比較して5%以上増加
② 給与等支給額が前事業年度の給与等支給額を下回らないこと
③ 平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を下回らないこと
※法人税・所得税の申告書に計算明細書を添付する必要があります。事前に特段の手続きを行う必要はありません。
  
  雇用促進税制・所得拡大税制・復興特区等に係る雇用促進税制は選択適用となります。


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2013年7月19日

教育資金の贈与③

カテゴリ:税務トピックス
5月22日にこちらで取り上げた「教育資金一括贈与の非課税特例」に関して、5月に公布された政令で、契約終了前に贈与者が死亡した場合、その残高等は個人ではなく、直系尊属からの贈与とみなす規定が設けられました。
わかりにくいので整理してみましょう。
もともと、3月に公布された政令では、契約終了時に贈与者が生存している場合はその残高等については教育資金の贈与者からの贈与とみなし、契約終了前に贈与者が死亡した場合は個人からの贈与とみなす、と規定されていました。そのため、契約終了前に贈与者が死亡した場合には、その残高等については「直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例」(平成27年1月1日以後、直系尊属から贈与を受けた者が20歳以上の場合、一般の税率より緩和された税率が適用される特例)の対象とならないと考えられていました。
しかし、5月の政令で「直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例」の適用上は、直系尊属からの贈与とみなすと規定されたのです。

したがって、27年1月1日以後に管理契約が終了し受贈者が20歳以上であれば、贈与者が生存している場合だけでなく、贈与者が死亡している場合でも、その残高等については直系尊属からの贈与として緩和税率の特例の対象となります。
ただし、個人を直系尊属とみなすのはあくまでも緩和税率の特例の適用上だけで、契約終了前に贈与者が死亡した場合の残高等は、個人からの贈与であることに変わりはありませんから、相続時精算課税の対象にはならず暦年課税が適用されます。(贈与者が生存している場合には精算課税の対象になります)


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